インダス平原周辺における石材・銅鉱石の分布(上杉2013:図14) |
インダス文明期には石製装身具や銅製品が広大な地域に分布するようになるが、それらの石材はインダス平原本体ではなく、その周辺部の高原地帯に分布する特徴がある。したがって、石製装身具や銅製品は、インダス平原周辺部でその素材が調達され、素材もしくは製品のかたちで文明社会の中心をなした平原部へと流通していたことがわかる。
そうした平原部と高原部の相互関係がインダス文明社会を支える基盤となっていたと考えられる。
ちなみに、インダス文明期に収穫具として用いられた石刃石器の素材である褐色チャートだけは、インダス平原部の中心部に位置するローフリー丘陵で産出することが知られている。