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2013年1月23日水曜日

ローマ貨幣 Roman coins in South Asia

インドでは前1世紀〜後3世紀頃を中心にアラビア海を介した西方との交易が盛んとなった。インドや東南アジアの香辛料がローマ世界で珍重されたことは『エリュトゥラー海案内記』にも記されるところである。南アジア、特にアラビア海やベンガル湾に面するインド半島部で発見されるローマ貨幣はそうした海洋交易の証拠の一つである。

ヴィーラヴァサラム出土のローマ貨幣(Turner 1989による)

南アジアで発見されたローマ貨幣についてはターナー(P.J. Turner)が網羅的な検討を行っている(Turner 1989)。彼女の研究によれば、インドで発見されるローマ貨幣でもっとも古いのはアウグストゥス帝(前27〜後14年)のもので、帝政ローマ以前の貨幣は発見されていない。初期にはデナリウス銀貨(前211年にはじまるローマ銀貨で、アウグストゥス帝以前は4.5g、アウグストゥス帝期からネロ帝期以前は3.9g、ネロ帝以後は3.4g)が一般的で、ユリウス=クラウディア朝期(アウグストゥス帝からネロ帝までの時期、前27〜後68年)を通してアウレウス金貨(前1世紀〜後4世紀ごろのローマ金貨。ネロ帝以前は8g、ネロ帝以後は7.3gで、25枚のデナリウス銀貨に相当する)の重要性が高まるとされる。

南アジアにおけるローマ貨幣出土遺跡の分布(Turner 1989をもとに作成)

【文献】

Turner, P.J. 1989 Roman Coins from India. Royal Numismatic Society, London.

2013年1月18日金曜日

北インド初期歴史時代の都市 Early Historic cities in North India

前6世紀頃になると、北インドのガンガー平原において都市形成が進む。このことは初期仏典や考古資料に窺うことができる。19世紀後半のイギリス人考古学者アレクサンダー・カニンガムの調査によって、仏典や中国人求法僧たちの記録と実際の遺跡との対比研究が進められた結果、多くの遺跡が古代都市に同定されることになった。

北インドの代表的な都市遺跡

カニンガム以来、断続的にそうした都市遺跡の発掘調査が進められているが、必ずしも調査・研究は活発ではなく、古代都市の様相はよくわかっていない。断片的な調査成果によれば、前6世紀頃に広大な面積(最盛期には150〜200ヘクタール前後)をもつ都市(的集落)が出現し、前3世紀頃までに都市の範囲を区画する城壁が築かれたことがわかっている。これらの古代都市は1〜3世紀頃に最盛期を迎えたようだが、4世紀以降、段階的に都市の規模縮小や衰退が進み、最終的には6世紀頃までに廃絶する。

インド共和国ウッタル・プラデーシュ州
マトゥラー遺跡
インド共和国ウッタル・プラデーシュ州
アヒッチャトラ−遺跡
インド共和国ウッタル・プラデーシュ州
カウシャーンビ−遺跡
インド共和国ビハール州
バリラージガル遺跡
インド共和国ウッタル・プラデーシュ州
マヘート(シュラーヴァスティー)遺跡
バングラデーシュ人民共和国
マハースターンガル遺跡
インド共和国ウッタル・プラデーシュ州
ラージガート(カーシ)遺跡
インド共和国ビハール州
ラージギル(ラージャグリハ)遺跡
ネパール連邦民主共和国ルンビニー県
ティラウラーコート(カピラヴァストゥ?)遺跡
インド共和国ビハール州
ヴァイシャーリー遺跡