インドでは前1世紀〜後3世紀頃を中心にアラビア海を介した西方との交易が盛んとなった。インドや東南アジアの香辛料がローマ世界で珍重されたことは『エリュトゥラー海案内記』にも記されるところである。南アジア、特にアラビア海やベンガル湾に面するインド半島部で発見されるローマ貨幣はそうした海洋交易の証拠の一つである。
南アジアで発見されたローマ貨幣についてはターナー(P.J. Turner)が網羅的な検討を行っている(Turner 1989)。彼女の研究によれば、インドで発見されるローマ貨幣でもっとも古いのはアウグストゥス帝(前27〜後14年)のもので、帝政ローマ以前の貨幣は発見されていない。初期にはデナリウス銀貨(前211年にはじまるローマ銀貨で、アウグストゥス帝以前は4.5g、アウグストゥス帝期からネロ帝期以前は3.9g、ネロ帝以後は3.4g)が一般的で、ユリウス=クラウディア朝期(アウグストゥス帝からネロ帝までの時期、前27〜後68年)を通してアウレウス金貨(前1世紀〜後4世紀ごろのローマ金貨。ネロ帝以前は8g、ネロ帝以後は7.3gで、25枚のデナリウス銀貨に相当する)の重要性が高まるとされる。
【文献】
ヴィーラヴァサラム出土のローマ貨幣(Turner 1989による) |
南アジアで発見されたローマ貨幣についてはターナー(P.J. Turner)が網羅的な検討を行っている(Turner 1989)。彼女の研究によれば、インドで発見されるローマ貨幣でもっとも古いのはアウグストゥス帝(前27〜後14年)のもので、帝政ローマ以前の貨幣は発見されていない。初期にはデナリウス銀貨(前211年にはじまるローマ銀貨で、アウグストゥス帝以前は4.5g、アウグストゥス帝期からネロ帝期以前は3.9g、ネロ帝以後は3.4g)が一般的で、ユリウス=クラウディア朝期(アウグストゥス帝からネロ帝までの時期、前27〜後68年)を通してアウレウス金貨(前1世紀〜後4世紀ごろのローマ金貨。ネロ帝以前は8g、ネロ帝以後は7.3gで、25枚のデナリウス銀貨に相当する)の重要性が高まるとされる。
南アジアにおけるローマ貨幣出土遺跡の分布(Turner 1989をもとに作成) |
【文献】
Turner, P.J. 1989 Roman Coins from India. Royal Numismatic Society, London.
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