インド半島部に広く分布する大型の石材を用いて構築された墓葬(巨石墓)を特徴とする文化。北はマハーラーシュトラ州のナーグプル周辺から南はタミル・ナードゥ州、ケーララ州にまで分布する。また、スリランカでもその分布が知られる。主な例を下の地図に示す。
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年代的には前700年頃のナーグプル周辺の例がもっとも古く、地域によっては紀元後の時期まで続く。
巨石墓を指標として「南インド巨石文化」として一括されるが、使用される石材やその配置、埋葬主体の構築方法・形態などに多様性がみられる。深尾淳一(1994b)によれば7つの地域型に分けられるとされる。年代的にみると、北から南へと展開した可能性が指摘されるが、その拡散の過程や地域間の関係はよくわかっていない。
ブラフマギリ遺跡の巨石墓(Wheeler 1948より) |
サーヌール遺跡の巨石墓(Banerjee and Soundra Rajan 1959より) |
土器や鉄器、青銅器などが副葬されるが、土器では黒縁赤色土器が広く用いられる。ナーグプル周辺の例では青銅製馬具を副葬した例もある。
南インドの黒縁赤色土器(ギメー美術館所蔵) |
【文献】
- Banerjee, N.R. and K.V. Soundra Rajan 1959 Sanur 1950 & 1952: a Megalithic Site in District Chingleput. Ancient India 15: 4-42.
- Wheeler, R.E.M. 1948 Brahmagiri and Chandravalli 1947: Megalithic and other Cultures in Mysore State. Ancient India: 180-310.
- 深尾淳一1990「南インド「巨石」文化におけるドルメンの位置付けについて」『アジアの巨石文化-ドルメン・支石墓考』(八幡一郎編)、六興出版.
- 深尾淳一1993「南インド=メガリス文化期の土器研究」『インド考古研究』第15号、インド考古研究会、37~40頁.
- 深尾淳一1994a「南インド・メガリス文化期の土器研究(2)」『インド考古研究』第16号
- インド考古研究会、125~127頁.
- 深尾淳一1994b「巨石文化の地域的展開」『ドラヴィダの世界 インド入門Ⅱ』(辛島昇編)、東京大学出版会、128~140頁.
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